研究概要 |
動物細胞を用いた研究において細胞の性質を追う際、細胞の性質変化を可視化することは我々研究者に多くの情報をもたらす。近年発達している蛍光イメージング技術は、生物の発生や分化、発現タンパク質の局在や動態、組換えタンパク質高生産細胞などの特定細胞の取得など幅広い分野での活躍が目覚ましい。本研究では標的の細胞の性質を3色のルシフェラーゼと3色の蛍光タンパク質で染め分ける事で複雑な細胞の動態をモニターする「レインボーレポーターシステム」の構築を行なった。平成23年度は、レインボーレポーターの遺伝子コンストラクションを行なった。本研究は、インテグレースというCre/loxPの様な部位特異的組換えシステムを用いている。まずCAGプロモーターの下流にルシフェラーゼを発現する遺伝子を配置する。これにより通常状態の細胞は発光を呈する。このルシフェラーゼ遺伝子の両端にはインテグレースによって認識され、不可逆的な組換えの起こるターゲット配列を配置している。ここにインテグレースが発現する事でCAGプロモーターにドライブされる遺伝子が蛍光タンパク質であるGFPに切り替わる仕組みである。このような発光から蛍光に切り替わるシステムをタンデムに3種類連結することで細胞を最大8パターンに分ける事が可能なベクターを作製した。このベクターをCHO細胞に導入し、動作確認を行なった結果、レインボーレポーターをトランスフェクションした細胞において3種類のルシフェラーゼ(CLuc,SLR,ELuc)の活性が確認された。また、このベクターをCHO細胞にインテグレースと共導入することで、細胞が発光からそれぞれの蛍光(GFP,OFP,RFP)に切り替わることを確認した。これらの結果は、構築したレインボーレポーターは発光と蛍光を組み合わせて8通りの細胞染色パターンを作る事が可能であることを示した。
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