研究課題/領域番号 |
23880022
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 理日斗 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (10613268)
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キーワード | アーキア / DNA修復系 / 極限環境微生物 / 有用宿主 / アルキル化傷害 |
研究概要 |
多経路のDNA修復に関わると予想される新規DNA修復タンパク質を複数の極限環境微生物ゲノム中に発見した。このタンパク質はN末端側ドメインにアルキル化傷害修復タンパク質に類似した配列を持ち、C末端側ドメインに脱アミノ傷害修復酵素、エンドヌクレアーゼV(EndoV)に類似した配列を持つ。さらに、本タンパク質群は、N末端ドメインの配列からAGT-endoV、ATL-endoVと呼ぶべき2種類に分類できることがわかった。しかし、これらのタンパク質が関わるDNA修復経路は全くの未知である。難培養性の株が多くゲノム未解明の種も多い極限環境では、AGT-EndoVとArT-EndoVの関わる新規修復システムが、保存された重要な修復系である可能性も高く、その機能解明は基礎研究としても意義深い。そこで私は、本タンパク質がDNAアルキル化傷害修復系と脱アミノ傷害修復系に関与していると推測し、研究を行った。まず、Thermoplasma acidophilumを入手し、ゲノムDNAの抽出を行った。それを元にPCRを行ってagt-endoV遺伝子の増巾副こ成功した。増幅した遺伝子をpET-21a、pMAL-c5Eの2種類のベクターにライゲーションし、野生型での発現系、マルトース結合タンパク質との融合状態での発現系の構築に成功した。このプラスミドを複数の株の大腸菌に導入し、AGT-EndoVの発現を確認し、目的タンパク質を大量に得ることに成功した。アミロースレジン等のカラムを用いて、本酵素を単一に精製することに成功し、精製方法を確立した。また、基質となる傷害塩基を含むDNAを入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究費の交付が11月であり、研究費が得られてから研究材料を準備し始めるしかなく、実質の研究期間はわずか3か月ほどであり、当初の予定よりは遅れている。しかし、研究期間内では順調に進んでいると言える。研究室を立ち上げるスタート支援という研究費の性質上、現時点では致し方ないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
基質となる傷害DNAをすでに入手し、研究対象である酵素は得られている。放射性同位体を扱う態勢も整ったので、当初の予定通り研究を進めていけば、順調に結果はついてくると考えている。
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