研究課題
本研究の目的は、流れ藻魚類群集モニタリングシステムを構築し、幼稚魚の成育場機能を明らかにすることであった。2012年度は、2011年度に完成させた流れ藻魚類群集モニタリングシステムを用いて実海域(五島列島南方海域)にてモニタリングを行った。そのモニタリングシステムとは、直径1.5m×1.5mの筏に、インターバルカメラ、イリジウム衛星送信機、電波発信機、水温データロガー並びに流れ藻を固定したものである。インターバルカメラの画像から、魚類の種構成と個体数を推定でき、イリジウム衛星送信機により数メートルの誤差で流れ藻の位置をリアルタイムに知ることが可能であった。2012年5月に、五島灘南方海域に上述の筏3基を漂流させ、約2週間後に回収した。得られたデータから、流れ藻に蝟集する魚種とその個体数、一部の個体の尾叉長を推定した。また、これらの推定データと周辺物理環境の関係を調べた。観察された魚類の 88 %は 4 つのカテゴリー(スジハナビラウオ、ウスメバル、カワハギ科、ブリ属)に分けられた。推定尾叉長(平均±標準偏差)は順に 47 ± 16 mm 、 39 ± 10 mm 、 92 ± 35 mm 、 150 ± 33 mm であった。カワハギ科の個体数と漂流期間の間には正の相関、ブリ属とウスメバルの個体数の間には負の相関があった。ブリ属の個体数は日照量、水温並びに塩分と関係があった。今後、データ数の増加と測定精度の向上により、流れ藻魚類群集と周辺環境の関係性の詳細を明らかにすることが期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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