研究課題
我が国の食料自給率を増やすためには、水田からの転換畑で深刻な問題となっている畑作物の耐湿性を向上が重要である。しかし、植物の耐湿性のメカニズムには未解明な部分が多く、その方策を立てることすら難しいのが現状である。本研究課題では、植物の耐湿性に深く関与しているRadial Oxygen Loss(ROL)バリアの形成に関わる遺伝子をイネから単離する。さらに、該当遺伝子の変異体・レポーター遺伝子系統を使った機能解析により、イネのROLバリアによる根の酸素通気システムの制御機構を明らかにする。加えて、耐湿性の低い畑作物とイネで明らかにしたROLバリア形成メカニズムの比較解析により、コムギとオオムギの耐湿性が低い原因を探る。これらを通じ畑作物の耐湿性強化に有効な方策立案を目指している。目的達成のため、本年度はイネのスベリン変異体(rcn1)のROLバリア形成能力と耐湿性の評価こよってROLバリアの構成成分を特定と遺伝子を単離した。さらに、ROLバリア形成時の該当遺伝子の発現パターンを調べることでイネのROLバリア形成機構を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、23年度、イネのスベリン変異体(rcn1)のROLバリア形成能力と耐湿性の評価によってROLバリアの構成成分を特定と遺伝子を単離した。さらに、ROLバリア形成時の該当遺伝子の発現パターンを調べることでイネのROLバリア形成機構を明らかにした。
イネのスベリン変異体(rcn1)が、ROLバリア形成能力を持たないことを明らかにし、ROLバリアの遺伝子と構成成分を同定した。しかし、ストレス状態が長期化すると、rcn1変異体がスベリン層をもたないにもかかわらず、ROLバリアを構成する。これは先の結果と矛盾するため、この原因を探るべく、短期間のストレス処理で起きている現象と、長期間のストレス処理で起きる現象の差違を調べる。これにより、より正確な現象の把握を試みる。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
PLoS ONE
巻: 6(10) ページ: e26162
DOI:10.1371/journal.pone.0026162
Plant, Cell and Environment
巻: (印刷中)
DOI:10.1111/j.1365-3040.2012.02513.x
http://www.s.fpu.ac.jp/kankyo/JP/Home.html