研究課題/領域番号 |
23880027
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
倉田 洋平 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (00608953)
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キーワード | 計測工学 / 農業工学 |
研究概要 |
ピコ秒オーダーの時間飛行近赤外分光法(TOF-NIRS)によって木材の準微視的領域の材質評価を非破壊で行うことを試み、これを実現する計測システムの確立を研究目的として、基礎実験を行った。 当初初年度では、成熟材、未成熟材、木材の心材部、辺材部およびあて材部の透過光プロフィルを計測する予定であったが、測定に適した木材(試料厚さが一定等の条件)を調達することが困難であったため、測定項目を変更し研究を遂行した。測定対象を、広葉樹材、針葉樹材など十数種類の材とし、それらの密度を非破壊計測できるか検討した。 本測定法は、木材の準微視的領域を超高速パルスレーザで計測する測定系であり、また、木材は異方性素材であるため、安定的な透過光プロフィルを得るためには、測定方法を工夫する必要がある。そこで、今回は一試料につき五カ所計測し平均化することで、得られた透過光プロフィルのばらつきを軽減した。 また、透過光プロフィルを解析するために、今回は波形形状から各種パラメータを定義・算出した。パラメータには、減光度(参照光と透過光の強度比)と遅れ時間(参照光と透過光のピーク時間の差)を用い木材密度との関係を詳細に解析した。 現段階では、木材の密度が増加するにつれ減光度は減少し、また、密度が増加するにつれ遅れ時間は増加する傾向が認められた。さらに今後は、木材中の光伝搬経路をシミュレーションするなどの光学的な理論解析をし、パラメータの変化が木材組織構造の何に起因するのか解明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測手法を工夫することで、研究目的とする情報を取得できるようになりつつある。今後は、試料の作成に注力し、研究目的を達成したい。また、測定原理を明らかにできるような理論解析(木材中の光伝搬経路の推定等)を遂行したい。
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今後の研究の推進方策 |
木材の材質と光の伝搬経路には密接な関係があると考えられる。伝搬経路を推定するためには、透過光時間プロフィルから吸収・散乱係数等の光学特性値を算出することが必要である。光拡散方程式に吸収・散乱係数を代入すると、理論的な透過光時間プロフィル(理論値)が算出できる(順問題的解法)。また、理論値を測定値にフィティングすることで吸収・散乱係数を算出できる(逆問題的解法)。両者の数値演算から、密度・ミクロフィブリル傾角・繊維長・ゼラチン層厚さ等が透過光時間プロフィルに及ぼす影響を詳細に検討したい。
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