研究課題/領域番号 |
23880035
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
山口 寿哉 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所・養殖技術部, 研究員 (70604312)
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キーワード | ヒラメ / PGC / PGCの移動 / cxcr4 / 養殖魚 |
研究概要 |
不妊化は水産養殖に有用な技術であるが、海産養殖魚の不妊化技術は未だ確立されていない。近年、始原生殖細胞(PGC:Primordial germ cell)の移動を阻害することで、卵や精子が作られなくなることがいくつかの生物において報告されているが、海産養殖魚では未だにPGCの基本的な動態とそれに関わる分子機構についてほとんど調べられていない。そこで、本研究課題においては、海産養殖魚であるヒラメを用いてPGCの移動とそれに関わる分子機構の解析を行う。 PGCの移動の分子メカニズムについては、SDF-1(stromal cel-derived factor-1)をリガンドとするケモカイン受容体(cxcr4:C-X-C hemokine receptor-4)が重要な役割を持つとされ、ゼブラフィッシュにおいてもその重要性が示されている(Doitsidou et al. 2002)。このようにいくつかのPGCの移動に関与する遺伝子が魚類においても報告されている。平成23年度の成果として、まずは、ヒラメ未分化生殖腺及び、成体の生殖腺などからcxcr4遺伝子の単離を試みた。RACE法を用いてまずはヒラメcxcr4 cDNAの部分配列を単離した。得られた部分cDNA配列はTurbotやAtlantic salmonとそれぞれ87%、91%と高い相同性が得られたことから、単離された部分配列はヒラメcxcr4である可能性が非常に高い。また、単離したヒラメcxcr4部分配列をもとにプライマーを作成し、卵巣、精巣においてRT-PCRを行った。その結果、得られた配列は精巣及び、卵巣において発現することが確認された。また、機能的な解析を行うために、ヒラメ受精卵へのマイクロインジェクション法の確立及び、cxcr4アンタゴニスト等の薬剤を用いたPGC移動の阻害実験の条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りの研究が行うことができた。また、研究によって得られた結果も予想されていた結果が得られた。このため、概ね順調に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては、PGCの移動に関わる遺伝子(cxcr等)の発現解析を行う。さらに、ヒラメにおけるPGCの移動に関わる遺伝子のノックダウン法による機能解析を行う。また、cxcr4アンタゴニスト等の薬剤を用いることで、PGC移動の阻害を引き起こすことができる可能性があるため、こちらについても実験を行う。
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