研究課題/領域番号 |
23880036
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
杉浦 義正 独立行政法人水産大学校, 食品科学科, 助教 (60608107)
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キーワード | 褐藻 / アレルギー / 食品機能 / 水産化学 / 生理活性 |
研究概要 |
1、クロメ、サガラメ、ツルアラメ由来フロロタンニン高含有抽出物の抗アレルギー評価 アレルギー炎症反応に関わる生体内酵素(ホスホリパーゼA2、リポキシゲナーゼ、ピアルロニダーゼ)の活性阻害効果を確認したところ、いずれの抽出物も対照物質である茶カテキン(エピガロカテキンガレート;EGCg)と同等かそれ以上の効果を示した。また、ツルアラメ抽出物では、アレルギー誘発性酵素であるシクロオキシゲナーゼ-2の活性阻害についても検証した結果、強い効果が認められた。クロメ抽出物については、ヒスタミン放出モデル細胞(RBL-2H3)を用いた脱顆粒抑制試験で、EGCgと同等の効果が認められた。更に、上記3種褐藻の抽出物について、ICR系マウス耳介浮腫抑制試験により抗炎症効果を確認(抽出試料は耳介塗布)したところ、いずれの抽出物もEGCgと同等の強い効果が認められ、クロメ抽出物において経口投与した場合にも抑制効果が確認できた。以上より、いずれの海藻抽出物(フロロタンニン)も十分な抗アレルギー素材として十分な可能性が見出され、且つ、クロメ抽出物では経口投与でも効果が確認されたことから、食品への利用可能性が高いことも見出された。 2、サガラメおよびツルアラメ由来脂溶性成分の抗アレルギー評価 上記と同じく、サガラメ、ツルアラメ由来脂溶性成分について、アレルギー炎症反応に関わる生体内酵素の活性阻害効果について調べた結果、EGCgほどではないが一定の阻害効果が認められた。RBL細胞に対する脱顆粒抑制効果は弱かったものの、マウス耳介浮腫試験では十分な抑制効果が認められた。ただし、遅延型炎症反応に対しては効果は認められなかった。以上より、フロロタンニンほどではないが、脂溶性成分にも効果のあることが見出され、上記褐藻3種の成分は複合的に効果を示していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
フロロタンニン類については当初、ホスホリパーゼA2、リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2の3酵素に対する阻害効果を評価する予定であったが、ヒアルロニダーゼ活性阻害まで確認することができた。また、マウス耳介浮腫試験では、クロメ抽出物の経口投与試験も実施し、効果が確認できたため。 脂溶性成分の評価において、マウス耳介浮腫試験で即時型炎症には効果が認められたが遅延型炎症には効果が認められなかったという、作用メカニズムの推測材料が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のテーマ(フロロタンニンの腸管吸収ならびにサガラメ以外の褐藻の抗アレルギー評価)と並行して、フロロタンニンによる免疫因子(抗体やサイトカインなど)変動への影響や脂溶性成分に含まれる有効成分の単離同定を進める。 複数種の褐藻の研究を同時進行することが困難な場合は、サガラメの成分研究を最優先して進行することを想定している。サガラメで研究実績が得られたのを踏まえ、クロメ、ツルアラメについても順次進行する予定である。
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