研究概要 |
1.サガラメ脂溶性画分に含まれる有効成分の単離・同定 サガラメ脂溶性画分の成分をカラムクロマトやHPLCで単離精製し、マススペクトルおよび核磁気共鳴でスペクトル解析した結果、フロロタンニンの1種dieckolが同定された。dieckolは炎症反応に関わる酵素(PLA2、COX-2、LOX、hyaluronidase)に対して活性阻害を示し、RBL-2H3細胞を用いた脱顆粒抑制試験でも濃度依存的な有効性が認められた。更に、ICRマウスを用いた耳介浮腫試験でも抗炎症効果を示した(論文投稿準備中)。 2.実験動物における低利用食用海藻の食品機能性 in vivoにおけるサガラメの抗アレルギー性を確認するため、フロロタンニン濃縮物をBALB/cマウスに経口投与した。卵白アルブミンで免疫されたマウスと無処理マウスの血清中の免疫因子(IgG1、IgG2a、IgEレベル)を比較したところ、免疫バランス改善によるアレルギー軽減の可能性が見出された。また、サガラメ由来フロロタンニン(eckol、8,8’-bieckol、PFF-A、PFF-B)やヒジキおよびヒロメ抽出物はマウス耳介浮腫試験で抗炎症効果を示し、フロロタンニンについては動物実験(in vivo)での抗炎症性に関する初めての知見を得た(論文投稿中)。更に、Wistar系ラットの実験では、紅藻イバラノリの熱水抽出物に血液凝固抑制作用と血中コレステロール上昇抑制効果が認められた。 3.フロロタンニンの腸管吸収の関する評価 Caco-2細胞を用いた腸管吸収モデル実験(トランズウェル)において、eckolならびにdieckol(何れも10μM)には1~5%程度の透過が認められた。eckol(分子量:372)の方が若干透過量が多く、dieckol(分子量:742)との分子量の違いによる可能性も考えられた。
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