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2011 年度 実績報告書

極長鎖脂肪酸伸長因子HACD1の生理的役割と筋変性疾患発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23890001
研究機関北海道大学

研究代表者

大野 祐介  北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (50611498)

キーワード極長鎖脂肪酸 / 3-ヒドロキシアシルCoA脱水酵素 / 不整脈源性右室異形成
研究概要

極長鎖脂肪酸は,様々な生命現象に必須の成分であるが,その合成の分子機構や機能メカニズムは未だ解明されていない。
HACDファミリーは,極長鎖脂肪酸伸長過程における脱水反応を触媒する酵素で,基質とする脂肪酸の鎖長,不飽和度に対して特異性を持つことが推測されているがその詳細は不明である。HACD1は心臓,骨格筋に高発現し,心疾患,筋変性疾患の関連遺伝子として注目されているが,その機能は不明である。そこで本研究では,HACDの基質特異性の解明,HACD1により合成される極長鎖脂肪酸の心臓,骨格筋における作用メカニズムや心疾患,筋変性疾患の病因解明を目指す。
HACDの基質特異性解明のために,極長鎖脂肪酸合成に関わる蛋白質を酵母から精製し,プロテオリポソーム系に組み込むことで3-ヒドロキシアシルCoAを作製していたが,酵母から精製した各蛋白質は哺乳類細胞から精製した場合に比べて活性が低いことが明らかとなった。そこで,哺乳類細胞からの蛋白質の精製のため,EL0VL2,EL0VL6,KAR,HACD1,HACD2,HACD3,HACD4をそれぞれ安定的に発現するHeLa細胞を作製した。24年度はこの系を用いてHACDファミリーの基質特異性および不整脈源性右室異形成の原因と考えられているHACD1のK64Q変異体の基質特異性の解析を行う。また,前年度まではHacd1の組換えES細胞を樹立していたが,今年度はキメラマウス,Hacd1ヘテロノックアウトマウスを完成させ,現在ホモノックアウトマウスを作出したところである。極長鎖脂肪酸はスフィンゴ脂質に多く見られるが,質量分析計UPLC-qTOFを用いたスフィンゴ脂質の解析系も確立したため,野生型とノックアウトマウスの脂質解析を行ない,心臓,骨格筋への分化・成熟へのHacdの関与を解析していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度までに構築していたリポソームを用いたHACD活性評価系の検出感度を向上させることができただけでなく,各蛋白質を高発現している安定発現株も作製しており,in vitroにおけるHACDの基質特異性解析に活性評価のために必要な材料をそろえることができた。また,HACD1のin vivo解析のために必要な,Hacd1ホモノックアウトマウスも予定通り作製でき,質量分析計を用いた脂質組成解析系も確立済みであるため,当初の計画通り順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り,プロテオリポソームに組み込んだHACDの様々な鎖長,不飽和度の3-ヒドロキシアシルCoAに対する脱水活性を測定することでHACDの基質特異性を明らかにする。また,shRNAを用いてHACDを安定的にノックダウンしたHeLa細胞の脂質組成を解析し,HACDの細胞レベルでの機能を解析する。Hacd1は心臓,骨格筋で特異的に発現しているため,Hacd1ホモノックアウトマウスの心臓,骨格筋を用いた表現型解析(心臓,血圧,心電図;骨格筋,筋力測定),組織染色,脂質組成解析を行ない,個体レベルでのHacd1の機能解析を行なう。

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公開日: 2013-06-26  

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