研究課題/領域番号 |
23890005
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
廣谷 真 北海道大学, 大学病院, 助教 (60399920)
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キーワード | 多発性硬化症 / 自然免疫 |
研究概要 |
多発性硬化症(MS)は神経難病のひとつであり,脳,脊髄,視神経髄鞘を標的としたTh1/Th17病態が主体の自己免疫疾患と考えられている.従来,本邦のMSは欧米と比較して脳病変を呈する割合が低いとされてきたが,近年は有病率の上昇とともに脳病変を呈する「古典的MS」の割合が上昇しており,いわゆる「MSの欧米化」傾向が顕著となっている.これまでMSにおける免疫動態は獲得免疫を主体に研究がなされてきたが,このようなMS臨床像変化の一因として自然免疫の影響が注目されはじめている.特に,Toll-like receptor(TLR)は自然免疫における重要な病原体認識分子であり,獲得免疫も誘導することから近年注目されている分子群である.TLR9はB細胞と形質細胞様樹状細胞(pDC)に発現し,CpG DNAがリガンドに同定されている.我々はMSのB細胞ではCpG DNA反応性IL-10産生が低下し,免疫調節性機能が低下していることを報告してきた.本研究ではpDCを介したI型interferon(IFN)産生経路に注目し,特にCpG DNA反応性IFN-αがMSのTh1/Th17病態へ与える影響を検討した. 研究の結果,MSではCpG DNA反応性IFN-α産生が低下していることが判明した。これはMSでは健常人と異なるCpG DNAへの反応性があることを示しており、異なった自然免疫機構がMSの発症・活動性に関連している可能性があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の第一段階として、MSではCpD DNA反応性IFNα産生が低下していることを確認することができており、この点ではおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMSにおけるCpG DNA反応性IFα産生の低下が、MSの獲得免疫動態にどのようにかかわっているかを検討していく。とくに、Th1/Th17病態へのかかわりをサイトカイン産生から検討していく。またMSの標準的進行予防・再燃予防薬でであるIFN-βやIFNαを添加することにより、どのような免疫学的変化が得られるかを検討することにより、IFNβの進行・再燃予防効果にまつわる詳細な機序を検証することができると考えている。
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