共同研究機関であるフィリピン国熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine、以下 RITM)の研究者と、現在におけるフィリピンでのウイルス性胃腸炎の研究概要および目標、今後の研究活動予定について協議を繰り返し行った。そこで、研究サイトとしてPhilippine Children's Medical Center(首都圏マニラ)、East Visayas Regional Medical Center(タクロバン市、レイテ島)、Leyte Provincial Hospital(パロ市、レイテ島)、Ospital ng Palawan(プエルトプリンセサ市、パラワン島)の3地区4病院の小児科を選定した。各病院を訪問し、ロタウイルス感染症を含む急性胃腸炎患者の発症状況、便検体等の検査実施状況およびその体制、現地での医療体制について調査を行った。さらに、各病院研究責任担当者一同をマニラに招へいし、研究目的や内容、具体的な方法について最終討議を行い、研究プロトコル、インフォームドコンセントの統一最終版を完成させ、RITMを含む各医療機関の倫理委員会に研究の申請を行った。また、細菌性胃腸炎サーベイランスのためにフィリピン全国からRITMへ集められてくる便検体の残存検体を用いて、ロタウイルスの検出をPCR法により行い、最も主要な遺伝子型であるGIP[8]を同定した。塩基配列を解析した結果、現在世界中で広く分布しているものと相同性の高いウイルスであった。
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