昨年度に今まで確立されていなかったマウス誤嚥性肺炎モデルを確立したため、今年度は誤嚥性肺炎モデルにおける気道及び肺における血管及びリンパ管の解析を免疫染色を用いて行った。気道においては血管のリモデリングが起こっており、またリンパ管新生の亢進を示唆するようにリンパ管の伸びてゆく芽の数が増加していた。肺では血管を免疫染色により同定する事はできなかったが、リンパ管の同定は可能で著名なリンパ管新生の亢進を認めた。リンパ管はtumor necrosis factor や vascular endothelial growth factor-C 等のタンパク質によりその新生が亢進する事が知られているが、定量的 RT-PCR を行ったところ、誤嚥性肺炎群では著名な tumor necrosis factor と vascular endothelial growth factor-C の発現上昇を認め、リンパ管新生亢進のメカニズムの一部であると考えられた。最後に誤嚥性肺炎で亡くなった患者さんの肺をリンパ管のマーカーで免疫染色したところ、コントロール群に比べ著名なリンパ管の増加を認めた。これらの事より、本モデルは実際の患者さんの病態を反映しており、今後日常の診察で頻繁に出会う誤嚥性肺炎の病態の解明と新規治療法の開発に貢献する事ができると考えられる。これらの成果を論文にまとめ、 American Journal of Pathology に投稿し2013年4月12日現在 revise の実験を行っている。
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