研究課題
平成23年度の研究により,海洋由来新規マクロリド化合物であるExiguolideが肺癌幹細胞の増殖を特異的に抑制している可能性が示された.これによりExiguolideの標的解明が肺癌幹細胞特異的増殖メカニズムの解明につながると考えた.網羅的遺伝子発現解析の結果から,ExiguolideはProtein kinase C(PKC)/Erk/Aktの3つの経路から細胞増殖を抑制している可能性が示されたため,これらの経路に対するExiguolideの効果を検証した.検証にはErkシグナル・Aktシグナルの上流に遺伝子変異をもつ細胞株A549/H460を用いた.まずExiguolideはPKCαを活性化し,サイクリン依存性キナーゼ阻害蛋白であるp21の発現を介して細胞周期をG1で停止させることがわかった.またウエスタンブロッティング・抗体アレイ解析により,ExiguolideがMekによるErkリン酸化を阻害すること,さらにAktリン酸化の調節を通じてGSK3βを抑制し,アポトーシスを誘導していることがわかった.PKCはこれまでも海洋由来マクロリド化合物の標的として知られていたが,幹細胞の増殖に関わる知見はなかった.肺癌との関わりについても明確な知見はない.分子標的薬を含む既存抗癌剤の耐性に複数の細胞内シグナル経路が関わっていることが先行研究により示唆されている.本研究により肺癌幹細胞の増殖にPKCαが関わっていることが示唆され,肺癌化学療法における耐性克服への重要な治験を得ることができた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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