長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)は、ゲノム上の数百キロベースにわたる遺伝子座、染色体全体などの大規模な遺伝子発現を、発生初期からコントロールする重要な役割をもっているが、lncRNAがどのようにして特定のゲノム領域に局在しているかはほとんどわかっていない。lncRNAによって制御される染色体領域は、高頻度に核小体近傍に存在することが知られており、特にXist RNAによるX染色体不活性化については、核小体とlncRNAによる不活性化の関連性は強く示唆されているが、そのメカニズムについてはほとんど不明のままである。そこで本研究では核小体の動態とlncRNAの局在の関係に注目し、約700種類の核小体因子に対するsiRNAライブラリーを用いてXistの局在制御に関わる核小体因子をスクリーニングすることを試みる。さらにXISTと同様にシスに働くlncRNAであるKcnqlot1やAirnに対しても同様にスクリーニングを行う。同定された核小体タンパク質からlncRNA局在制御のメカニズムを解析する手がかりが得られることが期待される。本研究は、長年解き明かされていなかったlncRNAの局在制御機構の一端が、核小体という新たな角度から切り開こうとするものであり、また、lncRNAによるエピジェネティックな遺伝子発現制御と細胞外からの情報を結びつける情報伝達の場としての核小体の位置づけを示すことが期待される。
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