我が国において骨粗鬆症の患者数は1000万人を超えるが、その病態には不明な点が多い。我々は、世界に先駆けてマイクロRNA(以下miRNA)による骨芽細胞分化の調節機構を見出した。本研究ではこの概念を更に発展させ、骨リモデリングのmiRNAによる調節機構を明らかにすることを目的とした。 今年度は主として、骨芽細胞において発現が認められたmiRNAのノックアウトマウス、及びトランスジェニックマウスの解析を行った。詳しくは、骨芽細胞特異的miRNAトランスジェニックマウス、ノックアウトマウスが骨量の異常をきたすことを定量化した。現在、組織学的骨形態計測法、in situ hybridization法、免疫組織染色法などにより、骨組織を詳細に解析し、miRNAのノックアウトマウス、及びトランスジェニックマウスの骨代謝の異常が骨形成に起因するか、骨吸収に起因するか、あるいは両者の共存によるものかに関する検討を行っている。さらに、in situ hybridization法、免疫組織染色法などによる骨組織の分子レベルでの解析を開始した。 また、当該miRNAの標的遺伝子については、数個の標的候補遺伝子について実際にmiRNAと結合するかどうか検討を行っている。 以上の研究により、骨リモデリングにおけるmiRNAによる骨芽細胞分化/機能の調節機構についてより明らかとなったと考えられる。 従って、本研究課題は当初計画通り順調に進行していると考えられる。
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