研究課題/領域番号 |
23890054
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山内 麻衣子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10611551)
|
キーワード | 幼若脳 / 麻酔薬 / アポトーシス / 学習障害 |
研究概要 |
妊娠中や生後数年の間に、手術に伴う麻酔を受けた児が、成長後に同年代の児に比較して、学習障害があるという報告がされている。申請者は、幼若マウスにセボフルラン麻酔を6時間行い、麻酔直後に脳にアポトーシス細胞を多数認め、さらに成長後の学習障害及び社会性の異常を見出した。本研究は麻酔薬により引き起こされる中枢神経細胞保護法、治療薬の開発を目的とする。 当該年度の目標としては次の2つを挙げた。 1.新生仔マウスに麻酔し、脳にアポトーシスが誘導されるメカニズムの解明 2.アポトーシスの発生時期と至適治療時期(therapeutic window)の解明 1.については、本研究開始とほぼ同時に、他の論文から明確に示され、速やかに2.の研究に移行した。2.について、これまでの研究で麻酔直後にアポトーシス細胞が増加しており、成長後に学習記憶障害を引き起こすことを明らかにしてきたが、麻酔中のみに発生する神経細胞死なのか、麻酔後も遅発性に発生する神経細胞死なのかは不明であり、至適治療時期を検討する上で重要であった。麻酔直後、1、2、3週間後におけるアポトーシス細胞および残存している神経細胞の数を組織学的に定量化したところ、アポトーシスは麻酔中のみに発生する神経細胞死であり、さらに成獣後の神経細胞数はコントロール群と比較して有意差がなかった。以上から考察されることは、麻酔中に神経細胞保護薬の使用がアポトーシスの誘導を抑え、治療薬として有効でないかと考えられた。そこで、現在各種神経保護薬を使用しアポトーシス誘導を抑制できうる可能性のある薬剤の解明を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究計画として大きく分けて2つ、(1)アポトーシスの発生時期と至適治療時期(therapeutic window)の解明及び(2)効果的な神経保護法、治療薬の検討の2つを掲げており、1つめはほぼ実験終了し、2つ目の治療薬の検討についても目途はたっている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画の2つ目の効果的な神経細胞保護法、治療薬の検討について、現在各種薬剤投与し評価検討を行っている。脳の組織学的検討のほか、行動実験での麻酔群とコントロール群の差が、脳の神経伝達物質の発現量の差として計測できるかという検討を行っている。研究を実施したのち速やかにまとめ、投稿していく予定である。
|