本研究の目的は、面会に回数や時間などの制限がないICU における重症患者の家族のニーズを構造化することを目的としている。本年度は、面会に回数や時間などの制限のないICUに入室している重症患者の家族が、どのような思いを抱いているのかを明らかにするため、ICUに入室している重症患者家族を対象に半構造化面接を実施した。対象者は5名(男性1名女性4名)、対象者の平均年齢55.4±11.1歳、データ収集時の患者のICU滞在日数は5~40日、患者との関係は、子供2名、親1名、配偶者2名であった。殆どの対象者がICU入室~1週間程は6~8時間程度ベッドサイドに滞在していた。病状が落ち着いてきてからも、各個人の生活リズムに合わせて毎日1~2時間以上ベッドサイドに滞在していた。対象者は、【そばにいたい】【会いたいときに会いたい】【後悔したくない】という思いを抱くと同時に【医療者への遠慮】を抱いていた。しかし【居心地の良い場の提供】と【その場にいても良いという保障】によって患者の【そばにいることを自分の意志で選択】することができていた。長い時間ベッドサイドに滞在することで、【医療者とのコミュニケーションの機会】も多くなり、【容体を自分の目で直接確認する】【治療・看護の内容を知る】ことによって【医療への信頼】【安心】を得ていることが示された。また「自分の気の済むまでいたい」「自分のタイミングで納得して帰りたい」「大丈夫だと思って帰りたい」といった【帰ることの自己決定】が不安の軽減につながることが示唆された。対象者数が5名と少ないため現時点ではニーズの構造化には至っていない。今後も引き続きデータ収集・分析を行うことで、面会に回数や時間などの制限がないICUにおける重症患者家族のニーズを構造化し、家族看護のあり方について検討していく。
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