組織、レントゲンにおいて、マウス大腿骨でも骨延長が可能であることを確認した。Micro CTでは、骨と血管の形成を3Dで別々に描出可能であった。血管の形成は、周囲軟部組織でより旺盛であり、大血管、小血管の順序で形成されていた。 BMP2 LacZマウスを用いた骨延長では、術後10日に、gap部の軟骨細胞の一部、gapに近いhost骨の表面にBMP2陽性細胞が見られた。興味深い事に、gap部およびその周囲軟部組織の血管にBMP2陽性細胞が見られた。術後20日には、gap部の骨細胞、軟骨細胞、周囲軟部組織を含め多くの血管においてBMP2陽性細胞が見られた。術後31日には、BMP2陽性細胞は、劇的に減少し周囲軟部組織に一部陽性細胞を認めるのみであった。BMP2陽性細胞は、大血管、中血管、毛細血管のどの大きさの血管においても認められた。また動脈、静脈のどちらにもBMP2陽性細胞を認めた。BMP2陽性細胞は、α-SMA、CD31でも陽性であり、LYVE1は陰性であった。つまり、血管においてBMP2は、血管平滑筋、血管内皮細胞において産生されていた。リンパ管内皮では産生されていなかった。 Real time PCRでは、PIGFが延長仮骨内での発現の上昇を認めたが周囲軟部組織では発現の上昇は認めなかった。またリンパ系のマーカーの発現も認めなかった。 本実験では、血管内皮細胞・平滑筋細胞が骨延長においてBMP2を産生することを初めて示した。骨延長においては、まず周囲血管でBMP2が産生され、骨形成に働くことが示唆された。また骨形成においては、血管由来のBMP2、周囲軟部組織由来のPIGFが大きな役割を占めるのではないかということも示唆された。
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