我々が開発したマウスに対する自己投与系システムを用いて野生型マウスとMHCI欠損マウスそれぞれからコカイン投与群それぞれ20匹とその対照として溶媒投与群それぞれ20匹を作製し、薬物依存に関与する脳部位である中脳腹側被蓋野(VTA)、海馬(Hip)、側坐核(Acb)、前頭前野(PFC)、扁桃体中心核(cAmy)を取り出し、MHCIの発現量の比較を定量的PCR法により調べた。その結果野生型マウスではMHCIが強く発現することが知られる中脳のドーパミン系である腹側被蓋野でMHCIの発現がコカインの自己投与により有意に減少することを明らかにした。上記の結果は昨年おこなった自己投与法の代わりに簡易におこなえる一週間の強制投与法により作製したコカイン群で同様の研究を行った結果と同じであった。更にドーパミン系に関わる遺伝子であるドーパミントランスポーター、ドーパミン合成酵素、ドーパミン受容体2の発現がMHCI欠損型のコカイン投与群では野生型のコカイン投与群に比べ最大約10倍も増加していることがわかった。
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