研究課題/領域番号 |
23890080
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
萩原 純孝 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40547551)
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キーワード | 口腔癌 / 前癌病変 / CD109 / 免疫組織化学 / 診断マーカー |
研究概要 |
1,当科にて視診・触診上、白板症と診断された病変100例を組織学的に評価したところ、CIS~扁平上皮癌と診断されるものが4例、その他疾患(扁平苔癬やカンジダ等)の病変が複数含まれており、病理組織学的にも白板症と診断され得る病変(病理学的白板症)は89例であった。89例の病態別内訳はHyperkeratosis(HK)14例、Hyperplasia(HP)22例、Dysplasia(DP)19例、それらが各々混在する病変が34例であった。12例に癌化を認め(癌化率13.5%)、臨床的には男性・高齢者・喫煙者・舌に発症した病変で高い癌化率を示した。組織学的にはDPを呈する病変で有意に高い癌化率を示したが、異型度と癌化率には明らかな相関を認めなかった。またDPにHKが混在する病変では癌化率がさらに上昇しており、異形と角化の組み合わせがハイリスクを示唆する病態であると考えられた。 2,口腔扁平上皮癌および白板症の診断のもと、当科にて生検を施行し検体がパラフィンブロックとして保存されているものから計20例を選択し、連続切片を作成し、パイロットスタディとしてCD109,TGFβ1,TGFβ受容体(I型受容体・2型受容体)に対する抗体を用いた免疫染色を施行した。それぞれの染色性(正常部位との対比を含む)や病態別染色特異性を検討した。CD109に関しては以前の研究同様に腫瘍部および異形部における特異的な染色を確認したが、その他の分子については染色性に病変特異的な差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫染色に用いる抗体の染色性について慎重な評価が必要であった。 平成24年1月の段階で、平成23年度研究費の一部を平成24年度へ繰り越すべく申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1、CD109結合タンパク質の同定。 CD109を高発現した培養細胞の溶解液からCD109を濃縮・免疫沈降法で抽出し、質量解析によって結合タンパク質を同定する。そこで同定された分子でさらに発癌に関与していると思われるものをピックアップする。 2、口腔白板症および扁平上皮癌組織での発現の検討。 口腔白板症および扁平上皮癌の組織検体を利用して、「1」で同定された分子を新規腫瘍マーカーの候補として、CD109同様、免疫組織学的手法で検討する。
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