研究課題
1、口腔白板症の診断のもと、生検を施行し病理組織学的に上皮異形成(Dysplasia)と診断された病変(33例)を対象に、3年の経過観察期間で癌化したハイリスク群(11例)および癌化しなかった対照群(22例)で、 抗CD109抗体を利用した免疫組織学的手法にて両群を比較した。30%Cut Offにて陽性と判断した場合、ハイリスク群では11例中8例が陽性(陽性率:73%)となり、 対照群(22例中5例が陽性)と比較し有意に高い陽性率を示した。これはCD109が癌化のリスクを呈する病変の鑑別に応用できる可能性を示唆するものであると思われた。2、次に基礎実験として、CD109高発現細胞の細胞抽出液からCD109 と結合する分子を質量解析にて同定することを試みた。その結果、結合タンパク質と思われる2種類の分子を同定することが可能であった。しかし、いずれの分子も現時点での報告では癌への関与が乏しいし分子であったことや未解明な点が多い分子であったことから、当初計画していた白板症臨床検体への免疫組織学的応用には更なる検討が必要と判断した。3、上記2に代わり、CD109が新規診断マーカーとして信頼あるものか否かを検証するために、悪性度の診断マーカーとして汎用されているKi-67との相関性を検討した(基礎実験の結果から、CD109が増殖マーカーとなる可能性が推測されたため)。舌扁平上皮癌組織検体30例を対象とし、抗Ki-67(MIB-1)抗体および抗CD109抗体を用いて免疫組織学的手法にて評価した。腫瘍部における陽性細胞数率をLabeling Index(LI値)として定量化し、各々のLI値の相関関係を単回帰分析法にて評価した。その結果、低分化型扁平上皮癌を除いてはKi-67とCD109のLI値に正の相関を認め、Ki-67高発現病変ではCD109の発現も亢進していることが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
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10.1016/j.ajoms.2012.10.002