研究課題/領域番号 |
23890081
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐伯 街子 名古屋大学, 医学部・保健学科・看護学専攻基礎看護学講座, 助教 (60610756)
|
キーワード | 医療・福祉 / 看護学 / 肥満 / リンパ / 浮腫 |
研究概要 |
1.肥満ラットの作製 実験動物は、ラットを使用した。ラットの飼料には、普通飼料と高脂肪飼料であるQuickFat[○!1](日本クレア)を使用し、飼育期間中、ラットは水と飼料を自由に摂取できるようにした。環境順応から3ヶ月後まで毎週、体重を測定した。墳境順応後、飼育1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後に尾静脈からの採血にて中性脂肪、総コレステロール、総脂質等の比較を行なった。体重の変化率は2群共に2ヶ月以降低下していたため、飼育サイクルを2ヶ月に変更した。 2.MRI撮影 肥満ラットは、環境順応後、飼育1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後に小動物用コンパクトMRI(DSファーマメディカル社)にてT1及びT2画像を撮影し、体幹の脂肪分布、水分布部位とその経時的変化を観察した。これにより、肥満ラットでは上腕背部、腰部(腎周辺)、大腿背部で脂肪組織の顕著な増加を確認した。 3.ICG注入 飼育3ヶ月後のラット下肢へのICG注入でリンパの流れはline状に蛍光した。つまり、リンパ管の中を走行しており、下肢に浮腫はみられなかった。MRIにて脂肪組織の増加が見られた部位へのICG注入も行い、リンパ管へ脂肪組織が与える物理的影響を継続して検討していく。 4.解剖学的検討 Control群と肉眼的に比較した結果、肥満ラットの腸間膜や腎周囲、膀胱周囲に内臓脂肪が多く沈着していた。MRIで確認した皮下脂肪組織の肥厚も観察できた。内臓脂肪増加によりアディポサイトカインの分泌増加が予想される。この考察をもとに、アディポサイトカインによる内皮細胞への影響を検討するため、組織学的観察及び免疫組織化学的観察を開始した。また、組織間隙の線維化により、リンパ管の形状に変化が見られるかも観察中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の到達目標である肥満モデルラットの作製は完了している。MRIによる検討やICGによるリンパの流れの比較検討は進行中であり、組織学的検討も既に開始している状況である。研究に使用する機器、器具も概ね準備できており、研究環境も整備できている。
|
今後の研究の推進方策 |
肥満ラット群とcontrol群のMRIの所見とICGでのリンパの流れの所見を比較し検討を行う。その上で同定した部位(上腕背部、腰部(腎周辺)、大腿背部)のリンパ管内皮細胞の変化や組織間隙の線維化の有無を観察する。方法としては、免疫組織化学的検討を行う予定で、対象組織の固定、包埋等を順次行っていく予定である。 研究計画時、肥満ラットモデルの作製期間を3ヶ月としていたが、H23年度の研究結果から2ヶ月で進めていく。その為、予定よりも多くの個体数で検討できるのではないかと考えている。
|