リンパ浮腫の増悪因子として肥満があるといわれているが、その根拠となる情報は不足している。本研究では正常体重(control)ラットと肥満ラットに対し、MRI、免疫組織学、ICG 蛍光リンパ管造影を行い、肥満がリンパの流れに及ぼす影響を検討した。肥満ラットの MRI 画像では大腿部において脂肪+水の層の肥厚が観察された。この肥厚部位の組織に対し HE 染色を施行したところ、脂肪組織の肥厚と脂肪細胞の肥大が観察された。加えて、リンパ管内皮細胞を識別する抗 Podoplanin 抗体による免疫染色を施行した。この結果、リンパ管は脂肪組織周囲の結合組織に存在し、肥満ラットと control ラットではリンパ管の形状に大きな違いは認められなかった。ICG 蛍光リンパ管造影では control ラット、肥満ラットとも liner 状に走行するリンパ管が観察され、浮腫を示す所見は認められなかった。肥満だけではリンパの流れに大きな影響を与えるほどの変化は起こりにくいことが示唆された。
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