研究課題/領域番号 |
23890086
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
寺崎 友香 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50612371)
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キーワード | 子宮頸がん検診 / 未受診者 / 就労女性 |
研究概要 |
本研究はわが国の子宮がんリスク集団である中高年女性の約7割を占める就労女性を対象に子宮がんに関する知識、受診行動および未受診理由に関する調査を行い、子宮頸がん検診未受診に関連する要因を明らかにするとともに、効果的な子宮頸がん検診包括的啓発プログラムを開発することを目的としている。 平成23年度は、1企業(121事業所)に勤務する19~60歳代の女性、約5000人を対象とし、同意の得られた対象者に対し、定期健康診断時に子宮頸がん検診受診行動、子宮がんに関する知識、自己リスク認識等についての自記式調査を実施した。自記式調査票は4645名から回収できた(回収率96.8%)。子宮がん検診受診経験の有無については「受診経験がある」と回答した者は2472名(53.2%)、「受診経験がない」と回答した者は2003名(43.0%)であった。子宮がん検診を受診したことがあると回答した者のうち実際に受けたことがある検診については、複数回答で「子宮頸がん検診」が1555名(62.9%)、「子宮体がん検診」が451名(18.2%)、「どちらかわからない」が635名(25.7%)であり、子宮頸がん検診受診経験ありの者が半数を超えていた。子宮頸がん検診を受けたきっかけについては、「その他」(20.0%)、「自分で行くことに決めているから」(18.3%)、「不正出血・腹痛などの症状があったから」(14.0%)等々であった。子宮頸がん検診を受けにくいと思う理由や、ためらう理由については「特に自覚症状もなく健康だから」(38.4%)が回答が一番多かったが、「内診がいやだから」(31.9%)、「男性医師がいやだから」(21.9%)といった子宮頸がん検診特有の理由が上位に挙がった。子宮がん全般について知っている情報については、「子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがある」(47.3%)、「子宮頸がんは予防のためにワクチン接種ができるようになった」(45.8%)、「子宮頸がんは若年層に急激に増えている」(41.8%)が知られていた。自分自身が子宮がんにかかるのではないかと心配かについては「心配」と回答した者が2192名(47.2%)、「心配ではない」と回答した者が2150名(46.3%)という結果が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に約5000人の就労女性を対象に子宮がんに対する知識、検診受診行動、検診未受診理由等を調査した。約4600人超から回答を得ることができ、まずは全体での結果を集計することができた。今後は年代別での未受診女性の特徴や未受診理由を抽出し、明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は「子宮がん検診未受診者に効果的な検診受診啓発ツールおよひ啓発方法の開発」を行うため、平成23年度の調査から全体および年代別の未受診関連要因と未受診者特性、特徴的な未受診理由を抽出し、単なる知識提供にとどまらず、各年齢層の未受診理由に対応しうる啓発内容、リーフレット等の既存の手段だけでなく、IT技術による啓発手段で対象に応じた子宮頸がん検診受診勧奨のための包括的啓発プログラムの開発に努める。
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