1) 臨床検体47例におけるCCL2免疫染色:VHL変異を有する淡明型腎細胞癌症例ではVHL野生型に比べCCL2の発現が有意に高かった。 2) VHL変異型腎癌細胞株(786-O/UMRC2)におけるCCL2強制発現および発現抑制の影響:VHL変異型腎癌細胞株(786-O/UMRC2)に野生型VHLを発現したクローンで検討を行った。VHL変異型腎癌細胞株に野生型VHLを再導入するとCCL2発現は抑制された。さらに、CCL2強制発現および発現抑制細胞株を作製し、in vitroおよびin vivoでのCCL2機能の検討を行った。in vitroでは強制発現・発現抑制ともに細胞増殖能に変化を認めなかったが、in vivoにおいて強制発現では腫瘍増生および血管新生は増強され、発現抑制では腫瘍増生および血管新生が抑制された。 3) CCL2中和抗体による抗腫瘍効果の検証:CCL2を発現する786-O細胞株を用いてnude mouseに皮下xenograftを作製してCCL2中和抗体を投与したところ、CCL2中和抗体による抗腫瘍効果を認めた。さらに、より実臨床に近いモデルで検証するため、これまでに樹立した患者組織由来xenograftに対してにCCL2中和抗体を投与したところ、同様に抗腫瘍効果を認めた。 以上の結果より、進行性腎細胞癌に対するVHL-HIF-VEGFを標的とした既存の分子標的薬治療の効果が十分でない現状において、CCL2は腎細胞癌の血管新生と腫瘍増殖に関与しており、腎細胞癌に対する新規分子標的となる可能性が示唆された。
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