研究課題
今回、in vitroにおける検討では、胎盤形成およびそれに基づく病態発生に大きな役割を果たす抗酸化システムに注目し、低酸素・酸化ストレス環境下におけるトロホブラストに与える影響を解析した。さらに臨床検体における検討では、前置胎盤・癒着胎盤/妊娠高血圧症候群/正常患者の胎盤において胎盤形成異常に影響する因子を分析した。我々はこの研究が、前置胎盤・癒着胎盤やPIHなどの胎盤形成異常の発症メカニズム、および低酸素・酸化ストレス環境下胎盤が母児の予後に与える影響などの解明に貢献できることを期待した。我々の予備実験において、前置胎盤・癒着胎盤の臨床検体では、対象群に比較しチオレドキシンの発現が減少していることを認めた。また、ヒト絨毛癌のcell lineであるBeWo細胞でトロホブラストの侵入実験を行ったところ、低酸素環境において侵入は増加し、チオレドキシン発現が減弱することを認めた。また、チオレドキシンを投与したところトロホブラストの侵入は減少した。胎盤のトロホブラストにおけるTRX陽性率は絨毛膜、絨毛、脱落膜別に正常(2/7、4/7、2/5)、PIH(3/8、4/8、5/8)、前置胎盤(0/7、1/7、1/6)、癒着胎盤(1/6、0/6、0/6)。胎盤床では正常(4/5)、癒着胎盤(2/5)であった。また胎盤におけるCD56発現はPIHで発現増加を認め、胎盤床においては癒着胎盤で減少傾向であった。TLR、CD68、VEGFの発現程度には差を認めなかった。TRXは前置胎盤・癒着胎盤で発現減少を認めた。トロホブラスト侵入規定因子の検討に関しては症例数を増やす必要がある。酸化ストレスマーカーであるTRXに関しては前置胎盤・癒着胎盤で発現減少を認めた。前置胎盤では酸化ストレスが減少しており、PIHが少なくなる病態を反映している可能性が考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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