研究課題/領域番号 |
23890102
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
熊澤 恵一 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (90444546)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 予知因子 / 胎盤 / sFLT1 / Two step theory / ELISA法 / ヒト血液サンプル / モデルマウス |
研究概要 |
(1)我々の作成した妊娠高血圧症候群モデルマウスを用いた予知因子の候補の検出 妊娠高血圧症候群が胎盤由来のsoluble VEGF receptor 1(sVEGFR-1, sFLT1)が母体循環を回ることにより高血圧及び尿タンパクを発症する事は知られている。我々の作成した妊娠高血圧症候群のモデルマウスでは高血圧(妊娠16.5日以降分娩まで)、尿タンパク(妊娠18.5日)及び子宮内胎児発育遅延と共に、胎盤の大きさもコントロール群と比較して約15%小さかった(妊娠18.5日)。今回我々は妊娠初期に注目し今回はマウスの胎盤を妊娠7.5日、10.5日で採取し、さらに比較のために妊娠13.5日、16.5日の胎盤も採取し冷凍保存した。 (2)ヒト血清を用いた妊娠高血圧症候群の予知因子の確認 現在、妊娠高血圧症候群は"Two Step Theory"と言われる二段階を経て発症するという仮説が主流である。妊娠初期に遺伝的、環境的、免疫学的な要因によって起こった胎盤の子宮への浸潤不全が胎盤血流還流の減少をもたらし(First Step)、妊娠の進行に伴う絨毛間腔の低酸素状態などが原因で発現が増加したsFET1やsoluble Endoglinといった、胎盤由来の液性因子がVEGFやPIGFといった胎盤由来の血管新生因子を阻害することで血管内皮障害をもたらす(Second Step)という仮説である。我々はこの仮説に基づき、妊娠初期のヒトの血液サンプルを用いて、候補因子と考えられる幾つかのタンパク質を、その後の経過を観察して妊娠高血圧症候群を発症した群と発症しなかったコントロール群とでELISA法で発現量を比較した。我々は、有意に差のある因子を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠高血圧症候群の予知因子となり得る物質を探しえた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ヒトの血液で、妊娠高血圧症候群とコントロール群で差のあった物質をcodeする遺伝子を、マウス実験にて胎盤特異的に過剰発現させる、あるいは妊娠子宮に導入するなどの方法を用いて、病態生理の解析を行う。 また、ヒトの症例数を出来る限り増やし、データを蓄積する。
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