研究課題/領域番号 |
23890103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前薗 葉月 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00613390)
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キーワード | 歯学 / バイオフィルム / 抗生物質 / ポルフィロモナス ジンジバリス |
研究概要 |
嫌気性インキュベーター内で独自に改良を加えたmodified Robbins device (MRD)およびペリスタポンプを用い、MRD中に唾液処理を行ったハイドロキシアパタイト(HA)ディスクを填入し、HAディスク上にPophyromanas gingivalis のバイオフィルムを作製し、作製されたバイオフィルムにAZMをsub-MICを含む濃度で添加した。Sub-MICのAZM添加/非添加時のバイオフィルム遊離細胞に対する薬剤抵抗性獲得の有無について、微量液体培地希釈法(小酒井ら、日本化学療法学会雑誌27、559-61、1979)を用いてMIC測定を行い確認した。その結果、sub-MIC AZM非曝露群のバイオフィルム遊離細胞のMICは線毛の遺伝子型の異なるP.gingivalis381株、HW24D1株、6/26株、W83株でそれぞれ1.56、0.39、6.25、6.25μg/mlであった。同様に計測したsub-MIC AZM曝露群のバイオフィルム遊離細胞のMICはそれぞれ0.39、0.09、6.25、625μg/mlであり、AZM曝露群のMICは非曝露群より上昇しておらず、sub-MICのAZM曝露によりAZMに対し耐性の獲得を認めなかった。また、同様の手法を用いて同じマクロライド系抗菌薬であるエリスロマイシン(EM)に対するMICも測定し、交差耐性発現の有無についても検討を行った。その結果、AZMの結果同様、sub-MICAZM曝露によりバイオフィルム遊離細菌のEMに対するMICの上昇は認められず、EMに対しても耐性の獲得は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要に示すようにsub-MICのAZM添加/非添加時のバイオフィルム遊離細胞に対する薬剤抵抗性およびEMに対する交差耐性獲得の有無についての実験は終了しており、また、タンパク発現の相異についての解析実験が進行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
現在sub-MICのAZM添加/非添加時のバイオフィルム遊離細胞のタンパク発現の相違についての解析実験が進行中である。この実験と並行しsub-MICのAZM 添加/非添加時のバイオフィルム遊離細胞の遺伝子発現の相異についての実験も今後行っていく予定である。その後、変異株作製、表現型の確認作業に移る予定である。
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