マイクロRNA(miRNA)は複数の蛋白発現を抑制し、癌化に関与している。悪性中皮腫ではmiRNA-34(miR-34)の発現が低下しており、発癌と関連性があること判明した。本研究は、正常中皮細胞において、miR-34の発現を強制的に抑制することで、中皮腫細胞モデルを作成し、機序を解明することを目的とした。正常中皮細胞株のmiR-34の発現を低下させると、細胞増殖能は、約2倍に増加し、癌の転移に関係する遊走能、浸潤能は、約1. 5倍の増加を認めた。また、癌関連蛋白である、MET、bcl-2の蛋白の発現の増加を認めた。正常中皮細胞において、miR-34の発現の低下は、早期の発癌現象の一因であることがわかった。
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