弯曲が40-50度を超えるような高度側弯では、側方への単純な弯曲だけではなく、3次元的な変形、回旋屈曲を伴っているため、詳細な評価が必須である。しかし臨床・手術で必要とされる様な脊椎の弯曲/回旋/屈曲/変形/併進を高い精度で自動解析する診断・評価法は存在しない。そこで我々は精度の高い診断法の開発をめざし研究を行った。まず、脊柱側弯症患者のCT-DICOMデータから3次元骨モデルを作成した。これらを元に骨表面を形成する点群の座標情報であるpoint cloud dataに変換した。Point cloud dataから上下の椎体終板および椎体後壁のみを抽出し、それぞれを微小三角形群で構成されるメッシュに置換した。抽出の際には境界(辺縁)の決定が重要であるが、微小三角形の法線ベクトルの傾きの範囲を規定することで、この抽出過程を自動化した。各椎体の立体モデルにおける座標中心を原点、上下の椎体終板における固有ベクトルの平均の向きをz軸とした。椎体後壁の固有ベクトルをz面に投影したベクトルの向きをx軸、これらx軸とz軸の直交ベクトルをy軸として、各椎体において局所座標系を作成した。各局所座標系同士の傾きならびにグローバル座標との傾きによって3次元的に脊柱の屈曲回旋を評価する測定系を作成した。この新しい3次元評価法を検定するための、任意に屈曲、回旋角を規定できる人体模型による脊柱側弯症モデルを作成した。これまで検者間、検者内の誤差が非常に大きかった側弯症患者の脊椎の画像評価が、我々の3次元的な評価法によってより高い精度で行えるようになった。
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