研究概要 |
本研究は,変形性関節症の原因遺伝子のひとつと推測されているWISP-1遺伝子に着目し,変形性関節症及び軟骨分化への関わりを,組織学的・分子細胞生物学的に解明することを目的としている.そこで今年度はまず,培養ヒト軟骨細胞およびマウス由来ATDC5細胞にアデノウイルスベクターを用いてWISP-1遺伝子をノックインし,WISP-1遺伝子の発現量を定量性RT-PCR法にて確認した.その結果,マウス由来ATDC5細胞においてWISP-1遺伝子の過剰発現は認められなかったが,培養ヒト軟骨細胞においてWISP-1遺伝子の過剰発現が確認された.また興味深いことに,WISP-1遺伝子を強制発現させることで軟骨分化マーカーの一つであるType II collagenの遺伝子発現が有意に抑制された.この結果は,WISP-1遺伝子が何らかのメカニズムで軟骨分化を制御していることを指し示しており,来年度は,sox9のプロモーターアッセイ,ChIP assayを行い,メカニズムを明らかにしていく予定である.また,in vivoにおけるWISP-1遺伝子の機能を明らかにするため,WISP-1遺伝子ノックアウトマウスを共同研究先であるアメリカ国立衛生研究所から入手し,1,3,6ヶ月齢のオス,メスマウスのマイクロCT解析を開始,スキャンニングまでを終了した.最終年度である来年度は形態学的解析後,組織切片を作製し解析を行なっていう予定である.
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