研究課題/領域番号 |
23890126
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村田 智子 岡山大学, 大学病院, 医員 (00610916)
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キーワード | ヒト歯根膜幹細胞 / Stage-specific embryonic antigen-4 / Serine palmitoyltransferase / Glucosylceramide synthetase |
研究概要 |
Stage-specific embryonic antigen (SSEA)-4は胚性幹細胞の特異的マーカーであるが、近年の研究によって体性幹細胞にも発現が認められることが知られている。また、申請者らのこれまでの研究によって、SSEA-4はヒト歯根膜幹細胞および歯髄幹細胞の同定・分離マーカーとして有用であることが解明されている。このように、SSEA-4は胚性幹細胞や体性幹細胞の同定・分離マーカーとして有用であることは分かっているものの、その機能についてはまだほとんど解明されていない。SSEA-4を含む糖脂質の合成を阻害すると、胚性幹細胞は特に影響を受けないが、体性幹細胞の一つである歯髄幹細胞の神経細胞分化が抑制されるという報告がある。これらの研究結果を踏まえ、本研究では、ヒト歯根膜細胞における糖脂質合成が幹細胞の維持・分化に関わっているかについて検討を行った。歯根膜細胞におけるSSEA-4の合成経路を確認するために、ISP-1およびD-PDMPの二つの阻害剤を用いて調べた結果、いずれの阻害剤でもSSEA-4の発現が低下した。このことから、歯根膜細胞におけるSSEA-4の合成は、ISP-1によって阻害されたserine palmitoyltransferaseおよびD-PDMPによって阻害されたglucosylceramide synthetaseを介して行われていることが確認できた。また、この結果は、ISP-1およびD-PDMPを用いることによって歯根膜細胞におけるSSEA-4の発現を調節し、その役割を解明するために有用であることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度では、SSEA-4の合成経路を同定することに加えて、阻害剤を用いたin vitroの分化誘導実験を行う予定であったが、これがまだ達成できていない。理由は、in vitroにおいて歯根膜細胞の分化誘導を行う際に、長期間の培養でも細胞死を起こさない阻害剤(ISP-1およびD-PDMP)の適切な濃度を決定しなければならず、この予備実験に時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進行計画に変更はない。研究の進行が遅れている問題については、研究を行う補助の人員を増やすなどの対応を行う。
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