研究概要 |
高齢化社会が急激なスピードで進行している現代日本において,骨粗鬆症に罹患する患者数が増加し,社会問題のひとつとなっている。近年,様々な骨粗鬆症の治療薬が開発されてきたが,副作用などの問題から未だ有効な治療薬は確立されていない。一方,ウシラクトフェリン(bLF)は,抗菌作用,炎症性サイトカイン分泌抑制作用などの様々な活性を有する多機能タンパク質で,副作用のほとんどない安全性の高い食品由来物質として注目されている。我々はこれまでに,bLFは骨芽細胞においてリポポリサッカライド(LPS)刺激により活性化されるNR-κBを特異的に抑制することで,RANKL発現を抑制し,破骨細胞の分化・誘導を抑制することを明らかにした。そこで本研究では,骨吸収抑制作用を有するbLFが骨粗鬆症に対する予防・治療薬となりうる可能性を検討することを目的とした。 本年度は、骨粗鬆症モデルマウス作製を行い、骨粗鬆症に対する大豆レシチンリポソーム化ラクトフェリン(SLbLF)の効果の研究を進める目的で以下のとおり実施した。 骨粗鬆症モデルマウスに対するSLbLF経口投与の骨量減少抑制効果の検討 (1)雌雄両性において両側性腺摘出術を施し、骨粗鬆症モデルマウスとする.また、同日齢の偽手術群を対照群とする。 (2)性腺摘出と同時にSLbLFを経口投与した群をSLbLF群、性腺摘出術から1週間前よりSLbLFを経口投与した群をSLbLF前投与群とする。なお、対照群にはbLF非含有溶液(蒸留水)を経口投与させる。 (3)性腺摘出術8週間後に通法に従い組織を摘出する。観察部位は大腿骨とする。 現在、組織切片作製および、マイクロCTにて大腿骨の骨密度を計測中である。
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