本年度は、昨年度実施した質問紙調査の解析及び公表を行った。 解析の結果、本研究の結果から、医師と看護師の管理者が認識する疼痛管理の現状は大きくは違わないことが明らかとなった。すなわち、わが国における新生児の疼痛管理は、痛みのアセスメント結果を記録として残すなどの疼痛評価のシステム化や処置ごとに鎮痛法を取り決めている施設が少なく、鎮痛が行われる場合は、非薬理的鎮痛法が主であり、ショ糖や鎮痛薬を使用している施設が少ないことが示唆された。また家族を含む医療チーム全体で鎮痛に取り組んでいるとする施設も少なかった。これらの現状の要因として、個人的要因では、新生児の疼痛感覚の発達や痛みの影響に関する知識が十分でないこと、組織的要因では、医師と看護師は、同職種での話し合いだけでなく、医療チーム全体で新生児の痛みについて定期的に話し合う機会を持ち、互いの意見を聞くなどの情報共有が十分でないこと、病棟内で疼痛管理に関する担当者がいないこと、部署内外で新生児の痛みについて学習する機会が少ないことが考えられた。 わが国における新生児の痛みのアセスメントや管理は十分とは言えない状況であったが、今後積極的に取り組みたいと考える医師及び看護師の管理者の割合は半数以上を占めた。わが国において、エビデンスに基づいた新生児の痛みのアセスメントと管理のために、その指針となる声明やガイドラインの作成が望まれる。また、新生児医療に従事する看護師と医師は新生児の痛みを最小化するために新生児の痛みのアセスメントや管理について共に学び協働していく必要があると考えられた。
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