・熱ショック転写因子(Heat shock transcription factor1: HSF1)ターゲット遺伝子の網羅的解析 メラノーマ細胞株MeWoに、HSFIに対するshort hairpin RNAを発現するアデノウイルス(HSFIshRNAアデノウイルス)を感染させ、HSF1をノックダウンし、ノックダウン効果はRT-PCR、Western blot法を用いて確認した。HSF1をノックダウンしたメラノーマ細胞株MeWoをDNAマイクロアレイ解析し、HSF1発現低下により1.3倍以上低発現する遺伝子群を網羅的に同定した。さらに、HSF1をノックダウンしたがん細胞株(HeLa、HSC-2)も同様にDNAマイクロアレイ解析し、共通して発現が低下する8つの遺伝子を同定した。現在はその8つの遺伝子に絞って、抗腫瘍効果を解析中である。 ・メラノーマ、母斑細胞母斑組織献体の収集 メラノーマ原発巣およびリンパ節転移巣の手術切除検体、母斑細胞母斑の手術切除検体を採取し、液体窒素で凍結し-80℃で保存している。採取にあたっては十分な説明の上に患者の同意を得、同意書を取得しながら採取を進めている。 ・メラノーマ組織、母斑細胞母斑組織におけるHSF1の発現量の検討 手術検体から得た組織を用いて免疫染色を行い、メラノーマ細胞および母斑細胞母斑細胞でHSF1の発現を解析している。メラノーマ細胞ではHSF1の発現が増加しており、母斑細胞母斑では発現が増加していないことを確認した。年齢(60歳以上or未満)、性別、発生部位、病型(結節型、表在拡大型、末端黒子型、悪性黒子型)、Breslowthickness、Claraksatage、潰瘍の有無、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無、生死とHSF1の発現量(免疫染色にて陽性細胞率を0%:-、1-25%:+、26-50%:2+、51-100%:3+とする)との相関を検定にて解析し、HSF1の発現量がメラノーマの独立した予後因子となり得るかを検討中である。
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