研究概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療をより効果的に行うために、OSASに随伴するいびき音の音響分析法を開発し、これを用いて睡眠中の気道の狭窄部位を診断する方法を確立し、さらに口腔内装置(OA)の作用機序を明らかにすることを目的とした。そのために今年度はOAによる治療前後におけるいびき音、PSG検査およびCT検査などの資料採取を行うことを計画した。2年間でOSAS患者50名の試料採取を目標としているが、平成23年度はOA治療前後のPSGおよびCTデータの試料が採取できたものが10名、治療前のみPSGおよびCTデータの試料が採取できたものが9名いる。しかし、いびき音の試料採取はまだできていない。 また、OAの作用機序を明らかにするために、今年度およびそれ以前に採取できているCTデータをもとに、OA治療前後の体積・断面積を比較したところ、半固定型OAではPNS後方部で気道の断面積が増大している(n=11,P=0,016)のに対して、固定型OAでは舌根部付近で断面積が増大している(n=9,P=0.008)ことが分かった。さらに流体解析(Computational Fluid Dynamics: CFD)ソフトFluent14.0(ANSYS,USA)を使用し、詳細な気道形態の変化を解析している。現段階では流体解析によって気道の狭窄部位では気流速度が増加し、壁面圧力が陰圧となることが分かった。この結果より、狭窄部位にさらに陰圧が加わることにより気道の狭窄を助長させ、最終的に気道の閉塞をおこすことが示唆される。
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