骨においては電気的刺激が骨形成に重要であることがわかっているが、骨形成を担う骨芽細胞とカップリングする破骨細胞における電気的な活動の存在とその意義は全くわかっていない。そこで、申請者は、破骨細胞における膜電位の機能的意義を解明し、破骨細胞機能異常状態に起因する、骨粗鬆症の新たな治療薬開発のための基礎基盤的知見を得ることを目的に研究を行った。 破骨細胞における電気的な活動をとらえるために、昨年度は膜電位プローブの検討を行った。その結果、現在までに発表されているプローブの中で、VSFP2.4が2光子励起顕微鏡を用いたin vivo観察に最も適したプローブであることを明らかにしたが、本年度に入り、細胞膜への発現が改善されたVSFP-Butterflyが発表されたことから、さっそくこれを入手した。 破骨細胞での実験を行う前に、ポジティブコントロールとしてまずは、興奮性細胞である神経細胞にVSFP-Butterflyを発現させた上で、膜電位イメージングを行ったところ、神経活動をとらえた蛍光強度変化をとらえることができた。このため、VSFP-Butterflyを本研究でももちいることとしたが、破骨細胞への遺伝子導入が困難であることから、レンチウイルスベクターをもちいた発現系にて遺伝子導入することとし、VSFP-Butterflyをレンチウイルス用ベクターへ遺伝子構築した。 一方、VSOPの骨代謝における役割解明のために、骨への機械的刺激に対する応答を評価する系の構築を行った。脛骨へ機械的な刺激を行うための装置の開発を行った。この装置を用いて脛骨へ繰り返し圧迫刺激を行い、骨新生がおこることを確認した。VSOPノックアウトマウスの脛骨への繰り返し圧迫刺激に対する応答に関しては、現在までに一定した結果は得られていないが、今後さらに、実験を続けていく予定である。
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