ロイコトリエンB4(LTB4)の受容体であるBLT1は、好中球やマクロファージに発現しており、炎症反応に深く関わっている。さらに近年、BLT1がリンパ球や樹状細胞(DC)にも発現し、免疫反応にも関わることが示唆されている。しかしながら、DC-T細胞免疫応答におけるLTB4の役割についてはいまだ不明な点が多い。そこで本研究では、LTB4 による免疫反応制御機構の解明を目的とし、DCとT細胞の相互作用におけるBLT1の役割に着目し研究を遂行している。平成24年度は、昨年度構築したフローサイトメトリーを使ったDC-T細胞間の物理的接触をモニタリングする系を用いて、BLT1がDCにおいて抗原依存的な免疫シナプス形成を促進することを明らかにした。一方で、独自に樹立した抗マウスBLT1単クローン抗体を用いて、樹状細胞の中にBLT1の発現量の異なる細胞集団を発見した。これらの細胞集団はTh1、Th2分化誘導において異なる性質を持つ事も明らかになってきており、LTB4-BLT1経路がTh1/2の両経路を促進するメカニズムを説明できると考え、解析を進めている。昨年度ノックアウトマウス国際コンソーシアムからloxP-BLT1 ES細胞を入手し、胚盤胞へのインジェクションにより得られたキメラマウスは、キメリズムが30-40%と低く、target allele がgermには受け継がれなかった。そこで、injection 法から aggregation法へと転換し、キメラマウスの作製を行った。その結果、キメリズムがほぼ100%のキメラマウスを5匹得る事が出来た。このマウスとB6マウスの交配によりgermにtarget allele を受け継いだマウスを多数得ている。現在、これらのマウスをCAG-FLPe Tgマウスと交配し、NeoRとLacZを抜いたBLT1 floxed マウスを作製中である。
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