インプラント治療においては、治療期間の短縮や治療成績の向上、患者QOLの向上のためにインプラント体が優れたオッセオインテグレーションを獲得することが望まれる。本研究では、インプラントの素材であるチタンの表面にカルシウム(Ca)イオンを修飾することで優れたオッセオィンテグレーションを達成可能なインプラント体を創製することを目的とし、23年度はCa修飾チタンの創製とキャラクタリゼーションを行い、さらにラット骨髄細胞を用いてCa修飾チタンに対する骨結合能をin vitroで評価した。 鏡面研磨した純チタン板(直径14mm、厚さ1mm)を、オゾンガスを溶存させた10mM塩化カルシウム水溶液(25度)に浸漬し、24時間処理を施した。X線光電子分光法によって処理基盤の表面を分析した結果、チタン表面にCaが修飾できることを確認した。さらにそのCa修飾密度を発光分光分析法を用いて分析したところ、チタン1平方ナノメートルあたり、Ca原子が約300個存在していることが明らかとなった。また、その修飾密度は修飾直後、1週間後、4週間後においても変化は認められなかった。 続いてラット骨髄細胞を用いて未処理およびCa修飾チタンに対する初期細胞接着挙動、増殖挙動、分化挙動(アルカリフォスファターゼ活性)および骨石灰化(Bone-like nodule formation)に与える影響を調査した。その結果、Ca修飾チタン上の細胞は未処理のチタンよりも有意に初期接着、増殖、分化および骨石灰化が促進した。 以上のことより、チタン表面にCa修飾することで、チタンが優れたオッセオインテグレーションを獲i得する可能性が示唆された。
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