研究概要 |
本研究では,プラズマ溶射法に比べて高い界面強度を有し,生体内で経時的にも安定な水酸アパタイト(HAp)コーティングチタンの創製を目標とする。工業的リン酸亜鉛被膜法に水熱処理を組み合わせた独自の手法によって,まず,Tiインプラントの表面にリン酸亜鉛被膜を形成させた。引き続き,カルシウム塩水溶液で処理することによって,リン酸亜鉛をアパタイトに組成変換させた。得られた膜の基板に対する接着強度は36.7±17MPaとプラズマ溶射法で報告されている値のおよそ4倍の値を示した。ラットの骨髄細胞を用いてinvitro骨伝導性評価を行ったところ,細胞接着性,増殖性,骨分化,石灰化のいずれも未処理のTiに比べて有意な値を示した。以上の結果から,本処理はTiインプラントへの骨伝導処理として有用であると結論付けた。
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