在宅特有の終末期ケアを行うためには,在宅でも使用可能な予後予測指標が必要である。本研究では,患者の臨床経過をもとに,終末期を在宅で過ごす呼吸器がん・消化器がん患者の最期の10日と3日の予測指標を開発することを目的とする。そのために今年度は,訪問看護師を対象にした在宅療養胃がん患者の調査から,予後10日で26項目(消化器系7項目,意識レベル1項目,一般全身状態15項目,パフォーマンスステタス3項目),予後3日で46項目(消化器系7項目,呼吸器系10項目,循環器系3項目,意識レベル5項目,一般全身状態18項目,パフォーマンスステタス3項目)を明らかした。また,予後3日のみに有意に適切であった症状と徴候を11項目(呼吸器系8項目,意識レベル3項目)を見出した。この結果と,国内外の終末期がん患者の予後予測指標に関する文献15件(国内2件,国外13件)から抽出した症状や徴候をもとに調査用紙を作成した。具体的には,予後予測指標となりうる症状や徴候47項目について,在宅で療養する患者や家族へのケアに携わり,在宅看護の教育経験をもつ研究者とともに妥当性の検討を行った。さらに,予後に影響を及ぼすと考えられる治療や属性について検討し精査した。 来年度は,今年度作成した調査用紙をもとに,在宅で療養をしている終末期呼吸器・消化器がん患者の症状や徴候を縦断的に調査して予後との関連性を検証し,実践の場で簡便に使用できる指標を開発する。
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