Bin-Amphiphysin-Rsv (BAR)ドメインをもつタンパク質は湾曲した分子構造を持つBARドメインを介してリン脂質に結合し、特定の形状(曲率)に生体膜を変形することで様々な細胞内イベントを制御する。本年度は、Bin-Amphiphysin-Rsv (BAR)ドメインをもつFCHO2によるEGF受容体のエンドサイトーシス、分解経路の調節機構について研究を行った。その結果、培養細胞においてFCHO2のノックダウンはEGF受容体のクラスリン依存型エンドサイトーシスを抑制することを明らかにした。またFCHO2の不在はEGF受容体による細胞内増殖シグナルの持続性に影響を与えた。これまでにFCHO2の主要な働きはエンドサイトーシスに必要なクラスリン被覆をリクルートすることであると考えられていた。しかし本研究ではFCHO2の新しい働きとして、これまで活性化機構が不明であったある種の酵素を活性化することで受容体のエンドサイトーシスを制御していることを明らかにした。
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