研究課題/領域番号 |
23890163
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
森 麗 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (70608877)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / iPS細胞 / 小胞体ストレス / 小胞体関連分野 / Derlin-1 / 変異SOD1 / 遺伝子治療 / NB2a細胞 |
研究概要 |
我々は、神経筋疾患に対する遺伝子治療、特に、筋萎縮性側索硬化症への遺伝子治療の開発を目指している。以前の研究成果として、近年、小胞体関連分解(ERAD)の中心的役割を担うことが明らかにされている小胞体膜蛋白Derlin-1を用いた研究結果を下記に記す。野生型もしくは変異型SOD1をDerlin-1と共発現させた培養神経細胞では、共焦点顕微鏡での観察で、変異SOD1において、凝集塊が有意に増加がみられ、また、Derlin-1過剰発現により、それらの凝集塊が有意に減少し、野生型や、特に変異型SOD1にDerlin-1がcolocalizeすることを明らかにし、野生型および変異型SOD1とDerlin-1のinteractionが示唆された。さらに運動ニューロン内においてDerlin-1が運動ニューロンの生死を左右する因子として重要であり、Derlin-1の過剰発現は、アポトーシスを軽減し、細胞活性を亢進させることを明らかにし、その機序としては、変異SOD1蛋白のERADを促進し、変異SOD1蛋白の小胞体内蓄積を軽減することによる可能性を示唆する結果を示した。以上より治療用タンパク質を効率よく運動ニューロンや非運動ニューロン細胞に導入することが、ALSの遺伝子治療の実現にも重要である。 当初、研究を発展させるにあたって、以前より用いている、Neuroblastoma由来のNB2a細胞を用いる予定であった。しかし、より病態を反映すると考えられる、筋萎縮性側索硬化症患者皮膚からのinduced Pluripotent Stem (iPS)細胞の樹立に成功した。さらに、それらを用いて、まずは小胞体ストレスの関与を検証する実験を継続している。しかしながら、技術的な問題でiPS細胞の維持培養等が困難であり、現在、その問題を検証・改善し続けている。問題解決すれば、多くの結果が得られると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋萎縮性側索硬化症の病態をより反映すると考えられる、iPS細胞を樹立したことは評価されうると考えられるが、技術的な問題で進展が滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者のご協力も仰ぎ、まずは、iPS細胞に関する技術的な問題を解決し、研究を進めていくことを計画している。
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