縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)の原因遺伝子であるGNEは、生体内でユビキタスに発現しているが、GNEの機能障害によって骨格筋が特異的に障害される機序については未だ明らかにされていない。GNEの筋における機能及びDMRV発症機序を解明するため、酵母ツーハイブリッド法を用いてGNEと相互作用する蛋白質を調べた。GNEの翻訳領域全長(GNE)、epimerase domain(GNE-E)あるいはkinase domain(GNE-K)に対応するGNEのbaitコンストラクトを作製し、ヒト骨格筋cDNAライブラリー(prey)を用いてスクリーニングしたところ、3(GNE)、15(GNE-E)、6(GNE-K)蛋白質がヒットした。再トランスフォーメション実験によってこのうち18蛋白質についてGNEとの相互作用の再現性を確認した。いずれの候補もこれまでGNEとの相互作用が報告されていないものであり、候補の中には筋細胞に特異的に発現している蛋白質や遺伝性筋疾患の原因と考えられている蛋白質等が含まれており、候補蛋白質の1つは二重免疫蛍光染色でマウス骨格筋組織においてGNEと共局在を示した。本研究結果からGNEが筋細胞で発現している蛋白質と相互作用して筋に特異的な役割を果たしている可能性が示唆される。今後これらの候補蛋白質とGNEとの相互作用を詳細に解析することによって、筋におけるGNEの機能並びにGNE機能障害による筋障害発症機序の解明が期待できる。
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