研究課題/領域番号 |
23890171
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田中 純子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (40601844)
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キーワード | 老年看護学 / 在宅看護 / 訪問看護 |
研究概要 |
今年度は、研究の第1段階として文献検討と本調査の方法を吟味した。文献検討では「PubMed」を用い、キーワードを「intermittent catheterization」としてRCTに絞り29件の研究論文を吟味した。その結果、最も多いのはカテーテルの材質に関する研究(14件)であり、次いでCICを行っている患者への予防的な抗菌薬の投与など薬物の使用に関する研究(8件)、そして、滅菌(sterile)と清潔(clean)のカテーテルを比較する研究(6件)であった。日本国内の研究は、「医学中央雑誌」を用い1983~2011年において検索した。検索語は、「自己導尿」と「間欠的導尿」とした結果1446件が検索され、この中から、会議録を除いて症例報告、原著論文、ヒトに限定すると192件に絞られた。しかし、その多くが1~2事例の症例報告であり、CICの指導方法や管理方法に焦点を当てたRCTやコホート研究は行われていなかった。これらの結果を踏まえ、日本におけるCICによる排尿管理の実態が明らかにされている研究報告が存在しないことが明らかとなり、本調査において実態調査を実施する意義があることが示唆された。次いで、第2段階として、CICに関する看護師を対象にした講演会を、長野(参加者102名)、福岡(99名)、福島(137名)の3か所で開催し、質問紙を用いた予備調査を実施した。予備調査での質問紙回収数は、3か所合計267(有効回答率79%)であった。その結果、約48%がCICによる排尿管理の経験がなく、患者指導の方法や具体的なカテーテルの取り扱いなどに関する知識が不足していると感じていることが明らかになった。また、CICによる排尿管理を取り入れることを困難にしている要因としては、(1)患者指導のための時間や人員、場所がないこと、(2)CICに関する知識を得るチャンスがないこと、(3)具体的な患者指導の方法を学ぶことができないこと、などが挙げられた。これらの結果を踏まえ、本調査では、具体的なCICによる排尿管理方法のみでなく、それを困難に導く要因を明らかにする必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度は、研究計画に沿って、第1段階(文献検討と研究方法の精選)、第2段階(予備調査の実施)を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の研究成果を踏まえ、第3段階である本調査を実施する予定である。本調査の結果と文献検討の結果を基に、CIC指導のための教育や看護連携システムの在り方を検討し、排尿ケア関連の学会に働きかけCIC指導管理指標の開発に着手する。排泄ケアを専門領域とする看護師が、施設やステーションの看護師と連携できるシステムを作り、学習会などを開催するとともに、研究成果の普及のための講演会などの情報発信を行う予定である。
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