最近の我々の研究によってTumor-Associated Calcium Signal Transducer 2(TACSTD2)タンパクはclaudin(CLDN)1とCLDN7タンパクと直接結合することが明らかとなり、TACSTD2はユビキチン・プロテアソーム系を介するタンパク分解からこれらを保護していることが示唆された。本研究ではこの研究成果を踏まえ、膠様滴状角膜ジストロフィの原因遺伝子であるTACSTD2について、CLDN1、7との結合部位を同定し、TACSTD2タンパクがユビキチン・プロテアソーム系を介するタンパク分解からCLDN1とCLDN7タンパクを保護しているメカニズムを分子レベルで解明することを目的とした。まず、TACSTD2タンパクのどの機能ドメインがCLDN1、CLDN7との結合に関わっているかを詳細に調べた。またTACSTD2タンパクの膜貫通ドメインのAxxxGモチーフについて、部位特異的変異導入によってアラニンとグリシンを片方または両方をバリンにアミノ酸置換してCLDN1、CLDN7との結合がどうなるかを検討した。結果、TACSTD2の細胞外ドメインのどの機能ドメインを欠失させてもCLDN7タンパクとの結合が阻害された。またTACSTD2タンパクの膜貫通ドメインのAxxxGモチーフのアラニンとグリシンの両方をアミノ酸置換させるとCLDN7との結合が脆弱になった。次にCLDN1とCLDN7のユビキチン化について調べた。予備検討ではCLDN1において、MG-132処理によってCLDN1タンパクの発現量が増加していることが認められたが、さらに詳細に検討した結果、CLDN1とCLDN7のユビキチン化が否定的であることが分かった。
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