研究課題/領域番号 |
23890183
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
撫養 真紀子 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (60611423)
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キーワード | 中堅看護師 / 職務満足 / 教育プログラム |
研究概要 |
本研究では、中堅看護師の職務満足を促進するために、仕事における主体的な取り組み、仕事への意義ややりがい、仕事の手応えを促す過程を支援する教育プログラムの開発を目的としている。具体的には、中堅看護師を対象に、仕事における主体的な取り組み、仕事への意義ややりがい、仕事の手応えを支援するプログラムを作成する。次に、作成したプログラムによる介入を実施し、介入しなかった中堅看護師と比較検討し、プログラムの有用性を検証する。 平成23年度は、教育プログラム介入前、直後、3か月後に評価指標として使用する自らが開発した職務満足測定尺度の精選を行った。対象者は一般病院に勤務する看護師450名で、職務満足測定尺度の信頼性としてクロンバックαを算出し、妥当性については自律性測定尺度、特性的自己効力感尺度との関連を検討した。そして、職業継続意思が「有る」「無し」の2群間における職務満足測定尺度の得点の差を比較検討した。回収数は224部、回答率49.7%であった。その結果、信頼性はクロンバックαが0.93、妥当性は職務満足測定尺度と自律性測定尺度でr=0.38(p<0.001)、特性的自己効力感尺度でr=0.35(p<0.001)の関連があった。職業継続意思の有る群の方が、職務満足測定尺度の得点が有意に高いことが明らかになった。以上のことから、教育プログラム介入を評価する指標として使用できる尺度であることが示された。また、教育プログラム作成に向けて、Appreciative Inquiry(AI)の理論の理解をさらに深めるために、専門家の知識の活用(ワールドカフェ、AI理論体験講座への参加)及び日本看護科学学会等で資料を収集し、教育プログラムの洗練を行った。そして、職務満足研究に先駆的に取り組んでいるアメリカの医療施設において中堅看護師の職務満足に関する教育への取り組み、中堅看護師の教育の現状の視察を行った。アメリカでは、AI理論を用いた教育が行われており、離職防止に寄与していた。文化的な差異を考慮しながら、これらを踏まえ作成した教育プログラムの実用性について、検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、中堅看護師を対象とした職務満足を促進するための教育プログラムを作成することを目的に取り組んだ。教育プログラム作成に向けて、Appreciative Inquiry(AI)理論の理解を深め、資料収集を行うことができた。国内外において、職務満足への取り組み、教育の現状についても視察を行い、プログラムの作成への知見を得た。今後、教育プログラムの実用性について、臨床の看護管理者の方と検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、中堅看護師を対象とした教育プログラムによる介入及びプログラムの有用性の検証を行う。 対象は、一般病院に勤務する臨床経験5~10年目の中堅看護師(介入群25名、対照群25名)である。介入時期を2012年5月~8月で計画していたが、臨床側の都合により、開始時期を遅らせる可能性がある。そのため、評価も当初、介入前(5月)、直後(8月)、3ヵ月後(11月)で計画していたが、開始時期に合わせて、変更する予定である。時期については対象者が参加しやすく、臨床現場に支障が出ないことを考慮しながら教育担当者と密に連絡を取りながら、研究を遂行する予定である。 そして、この結果を基に、教育プログラムの問題点及び実用性について検討する際、臨床の看護管理者とともに教育担当者にも、参加していただき検討していくことが必要であると考える。
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