本研究では中堅看護師を対象に、仕事における主体的な取り組み、仕事への意義ややりがい、仕事への手応えを促す過程を支援し、職務満足を促進することを目的に、教育プログラムを開発し、その有用性及び実用性を検証した。本プログラムは、自己尊重や自己表現を育むAppreciative Inquiry(AI)の理論を参考に作成されており、中堅看護師の職務満足を促し、職業継続や離職防止に貢献する。研究方法は縦断的・準実験研究デザインを用いた。対象は一般病院に勤務する臨床経験5~10年目の中堅看護師30名で、介入群15名と対照群15名に無作為割付した。最終までの参加者は、介入群10名、対照群11名であった。プログラムは、AI理論を参考に主に演習(120分間)を2~3週間ごとに3回で構成した。対照群は介入3か月後に、講義(約60分間)を実施した。データは、両群とも介入直前、介入直後、介入3か月後に収集した。介入の評価指標は研究者が開発し信頼性・妥当性を確保した職務満足測定尺度28項目と特性的自己効力感23項目、仕事への取組み状況とその効果について自由記述調査も実施した。結果は2群(介入群・対照群)間における効果指標に有意差は認められなかったが、介入群の職務満足は介入直後で高くなる傾向を示した。自己効力感の得点は介入群で、介入直前より介入直後、介入3か月後と上昇していた。一方、対照群では変化はみられなかった。自由記述では患者さんにとって良いことをする等、前向きな表現が介入後あり、創意工夫しながら取り組んでいる現状が示されていた。教育プログラムを実施した結果、効果指標に有意差は認められなかった。しかし、介入群の職務満足は介入直後に上昇し、特性的自己効力感は介入直後、介入3か月後も上昇していた。職務満足得点が介入3か月後に低下したことから、職務満足を維持するために定期的な追加介入の必要性が窺われた。
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