平成24年度は、回収された質問紙のデータ入力、データ分析を行った。研究協力の承諾が得られた49施設の看護職者に質問紙の配布を依頼し、1336名(回収率55.2%)から質問紙の回収が得られ、1303部(有効回答率97.5%)を分析対象とした。対象者を経験年数により、若手、中堅、ベテランに分けて分析を行った。チームワーク・コンピテンシーは、「忙しい時は自分ができることを手伝う」など平均値も高く、回答のばらつきも小さいなど経験年数にかかわりなく多くが実践しているものと、「みんなの前で不平不満は言わない」など平均値は低いが、回答のばらつきが大きく、個人によって実践の程度が異なるものがみられた。「仕事で不足していることに気付いたら本人に伝える」など経験レベルが上がるにつれて実践の程度が高くなるもの、「職場でスタッフの悪口を言っているときは注意する」などベテランになると有意に高くなるものがみられた。 チームワーク・コンピテンシー72項目を主因子法、プロマックス回転で因子分析した結果11因子となった。共通因子、因子負荷量を確認し、7項目を除外した65因子で再度因子分析を行い、11因子で成立した。11因子は、文献検討によって得られたチームワーク・コンピテンシーの研究枠組みと、ほぼ同じ構造が得られた。また、チームワーク・コンピテンシー11因子を従属変数に、重回帰分析を行った結果、役職あり、リーダー経験あり、現病棟での看護経験年数、看護チームのチームワークがチームワーク・コンピテンシーに影響を及ぼしていることが分かった。【病棟運営・人的環境づくりへの積極的な関わり】の因子は、上記のほかに看護師長のスタッフへの取り組みへの評価が影響するなど、看護師長の働きかけもかかわりがあることが明らかになった。
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