非常災害時に求められる養護教諭の役割を明らかにするために、23年度に養護教諭が学校外において体験した救急対応の具体的内容と現在の保健室の救急資材の備蓄状況および今後必要と考える資材や機器について調査した。 24年度はその結果に基づき、緊急時に必要とされる正確な観察や救急処置技術が身につくことを目的に災害時における救急法実施に関する研究を進めた。また、児童生徒が自他の命を守れるように、骨折の対応や心肺蘇生を中心とした救急処置を学ぶ機会を推進する必要があるため、指導者の育成として心肺蘇生法を中心とした講習会を養護教諭を目指す大学生、養護教諭、大学職員計79人に対して合計3回行った。その結果、三角巾では、たたみ三角巾の扱いや結び方、包帯法、鎖骨骨折時の固定、シーネを用いた前腕骨骨折固定も繰り返しによって時間短縮がみられた。また、心肺蘇生法の実施においては口頭で実施した者より、具体的モデルで事前実施後、体験した者の方が技術力の向上が見られた。 また、災害時に備えての災害DIG図上訓練と防災まち歩きを行った。実際に住民と共に地域に出かけて車椅子で行う避難訓練体験と危険個所を知る防災まち歩き体験後の調査結果では「日頃からの備え」「訓練の効果」「視覚と体験の効果」「隠れた危険を見つける」「地域を知る」「地域の防災意識」などのキーワードが抽出された。 非常災害時に養護教諭の専門性が発揮されるためには、正確な観察や救急置技術を身につける救急法の研修機会を繰り返すとともに、地域住民とともに地域の防災力を高めるDIG図上訓練や防災まち歩きなど、視覚を通した研修と体験が効果的であることが示された。
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